第 6 号
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-- 現場における生物統計学入門 --
標準偏差と標準誤差の違いは?  (2)
東洋醸造株式会社医薬品研究所 松本一彦

間題3.あなたが血液・生化学試験担当者だったら次の問題をどう考えますか?
 イヌの慢性毒性試験の途中で自動血球計数器を新しい型の機種に交換したい。新機種と旧機種で20頭のイヌの赤血球を測定したところ,次のような値が得られた。相関係数を求めたところ,r=0.345であり,無相関となった。
 新機種を本試験では用いることはできないのだろうか?



解答:
 正常動物だけを集めて採血し,ある検査項目を新・旧両機種を用いて測定した場合に,相関をとると相関無しという答えがでて,頭を抱えてしまうことがある (図3-1)。そこで,本例のNo.1と2の値に100を加え,No.19と20の値からそれぞれ200を引いた値で相関係数をとってみると0.9232 と高い相関を示すことがわかる(表3-1,図3-2)。なぜ,本例では相関係数が小さくなったかというと,それはここで測定している試料の変動範囲が測定誤差と同じ程度に小さいためである。すなわち,相関をとるときは低値から高値までまんべんなく数値がならんでいることが必要であり,この例のように正常値だけを集めた場合には相関係数は低くなる。必ず病態時の値を含めて測定することを心がける必要がある。

 

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