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-- やってみよう --
ハムスターの舌下静脈を用いての採血法 初歩の技術5
福井医科大学 第2病理 伊藤秀信

 ハムスター類の採血方法には尾静脈・眼窩静脈叢・心穿刺等の方法があり,マウス・ラット類の採血法に準じて行われるのが常です。また,その他の部位として頬袋の粘膜下毛細血管や後肢末梢静脈等を用いて行われることもありますが,必ずしも容易ではないと忠われます。そこで,ハムスター類の実験動物としての利用普及の一環として比較的容易に行える舌下静脈採血法を紹介します。

1.使用器具・試薬類
 器具類はツベルクリン用1cc注射筒・26G×1/2”注射針・止血用鉗子,試薬類はヘパリンナトリウムの抗凝固剤とペントバルビタール系の麻酔薬,止血用の酒精綿を準備する。

2.採血方法
 麻酔処置されたハムスターを補助者が背位にて手固定し,鉗子を用いて口腔内より舌を引き出す。採血には上大静脈系の舌静脈より分枝した舌の裏側にある2 本の舌下静脈(図1)を確認しその内の1本を使用する。ヘパリナイズされた注射筒を用い血管に対して約30度の角度にて注射針を刺入する。そして,刺入時に注射筒内へ血液の流入を確認しシリンジをゆっくり引き採血する(図2)。採血が終了したならば酒精綿で注射針の刺入口を軽く押さえて抜き取り圧迫止血にて十分に止血する。

3.利点と注意点
 以上,簡単に採血法を紹介しましたが,利点としては,採血部位の血管が表皮より突出するため初心者にも容易に判別でき注射針を簡単に刺入できることがあげられます。
 注射針の選択に際しては25〜27Gまで採血可能でしたが26Gが最良でした。またラット・モルモット類においてもこの方法で採血が可能でした。
 注射針を血管内へ刺入する際に2本の血管において失敗が生じた場合は,うっ血状態になり採血困難になりますが2〜3日後には回復し1週間後には十分採血可能な状態になります。体重等一般状態においては著変は認められず,また他の部位(例えば心穿刺等)と比して失敗による死亡もなく動物福祉の観点においても支障がないと思われます。
 血液検査を行うのに十分な採血量(2〜3ml)が得られ,生化学検査の少数項目であれば測定できるようです。
 また,この血管を利用すれば採血法と同様な方法で容易に投与をすることができ,2本の血管を交互に使用すれば連統投与も可能であろうと思われます。

 採血方法の詳細は『実験動物技術第16巻2号』,また採血部位による赤・白血球分布の検討は『第21回総会講演要旨集』を参考にして頂ければ幸いです。